2015年9月9日水曜日

■ 編集長からのメッセージ

今月は新しいプロジェクト管理についてお話したいと思います。(1)2020年東京オリンピック
の公式エンブレム問題がヒートアップし残念ながら撤回になりました。(2)STAP細胞騒動も
記憶に新しい事件でした。一方、(3)Windows107月にリリースされました。価格はゼロで
誰でもが自由に使える、というマイクロソフト社としてはこれまでと180度異なる販売戦略が
話題になりました。(4)「くまモン」の快進撃はとどまるところを知らず、昨年度の関連商品
の売上額は643億円とのことです。

さて、ここでクイズです。これら4つの共通点は何でしょうか?いくつか存在する正答のうち
のひとつは「クラウドマーケティング(Crowd Marketing)(以下CM)」です。CMはまだ馴染み
のない用語ですので定義を述べます。「CMとは商品展開において、一般大衆の意見を収集し
商品開発にフィードバックしながら新マーケット、新ビジネスを創造していく手法」という
ことになるでしょうか。(1),(2)CMを実施すればうまくいった可能性があります。
(3),(4)CM実施成功例です。

(1),(2)がうまくいかなかった原因は多々あると思いますが、従来型の「密室型研究・開発
マーケティング手法」にしがみついたことが大きいのではないでしょうか。「密室型」という
のは「商品が完成し特許や商標が取得完了するまでは厳密な機密保持運用を行い、その代り
発表はできるだけ華々しく行う」ということです。20年ほど前まではほとんどの組織はこの
形態を最上のものとしてきました。しかしインターネットが本格的に機能し始めた近年では
そのやり方は効率が悪く成功の確率がかなり低くなってきました。

それに対しCMは一般民衆(Crowd)に「商品のアイデアを求めること」、「開発途中の状況を繰返
し公開して意見や不具合の指摘をしていただくこと」、「製品化が完了した後も一定期間はロイ
ヤリティフリーで大きなマーケットを創り出していくこと」です。こうすることで「唐突な華々
しい発表」が失敗に終わることは有りません。プロジェクトの進捗を的確に公開しながら利用
者の声を反映してゆくので、利用者が求める機能・性能・信頼性を確実に満足させることが
できるからです。つまり自組織だけの貧弱なアイデア、貧弱な品質、貧弱な知的財産権
チェック、膨大な宣伝費用濫用を避けることができます。

私達は「静大クラウド」でCMを実践し大きな成果を得ました。今後は「通信容量の劇的増大
サービス」「正式出版サービス」「英語翻訳サービス」などに適用し、利用者の要求を高い水準
で満足しつつサービスの質・量も最大にできる情報基盤の実現を進めたいと考えています。

(編集長1:井上センター長)