2015年7月8日水曜日

■ 編集長からのメッセージ

先日開催した「拡大教授会」で「2018年に、本学の教職員なら誰でも無償で正式出版を行え
るサービスを実現したい」と発表したところ、多くのご意見をいただきました。中に「情報
基盤センターが出版サービスを行うのは越権行為ではないのか」という心配のご意見もあり
ました。心配のポイントは「正式・・・」という点だろうと理解しました。「誰でも簡単に
正式出版出来るならアカデミックの世界が壊れてしまう」と感ずる方が多いのかと思います。
特に教員採用や昇格において正式出版数を重視している大学組織などではそうなのかもしれ
ません。10年前なら正式出版は大変で、内容でなく出版自体が評価されていました。

ところがICTの普及で正式出版の定義があいまいになってきました。「正式出版とはISBN
(International Standard Book Number)を有する書籍を流通させること」が一般概念だった
のですが、電子出版は流通がWEB上で行われる場合がほとんどなので、ISBNを特に必要と
しません。この状況を冷静に観察すると「ISBNを有する電子書籍は間違いなく正式出版」
ということになります。ISBNを電子書籍に付加することは既存の出版社にとっては簡単な
業務でパソコンを5分程度操作すれば完了です。しかしこれは個人ではできない特権的な作業
です。「無償正式出版サービス」はこの点を狙い撃つわけです。「原稿はあるが、正式な本に
するほどのものでは無い」という段階でも「無償なのでとりあえず出版」というサービスです。
大学教員にとってそのメリットは非常に大きいのです。つまり(1)自著出版書籍数が増える、
2)授業で使用する資料を有料提供できる、(3)文書はISBN管理おまかせなどです。簡単に
出版できることが分かると、その教員は内容の高度化、洗練化に向かいます。そこで初めて
教育者、研究者としての土台が整備されていきます。

以上のビジネスフローに未決点はありません。Kindle-directRomancerなどを活用すれば
簡単かつ確実に実現できます。ISBNの付加作業コストを5000/冊以下に抑えると、年間2000
冊以上の正式出版が可能になります。これは結構凄い数字です。1つの大学が毎年2000冊の
本を正式出版することは、大げさな表現をすれば「有史以来有りえなかった画期的な情報発信
の実現」ということに他なりません。これから2年かけて実現していきたいと思います。皆様
のご指導、ご意見をお待ちしております。

(編集長1:井上センター長)