最近、論文不正などの事件が多発し「コピペ」つまり「コピーアンドペースト」の功罪
について議論が盛んになってきています。教育・研究機関としての大学としては避けて
通れない問題です。そういう訳で引用率を測定できる「論文・記事チェックシステム」
導入の検討が必要になりました。
「隗より始めよ」という訳で、私が執筆者の4種類の論文について調査してみました。
その結果、引用率は(博士論文=7%、中国語論文=1%、英語論文=8%、
日本語論文=5%)ということで胸をなでおろしました。著作権法では「引用文献比率は
出典を明記した上で49%以下」ですのでそれはクリアしています。最近、学会によっては
40%以上の引用が発見されると受け付けないところも出てきているようです。
これらに対し以下に示す様な多くの意見が出てきています。
「驚異的な発明、発見なら引用が99%有っても問題ない」、
「オリジナリティが希薄な論文や記事は引用率が低くても意味が無い」、
「業務上の文書はコピペ率が高いほど効率を高めるので、引用率は高い方が良い」
どれもが正しいような気もしてきます。
では視点を変えて「どういう論文・記事はダメ?」という命題ではどうでしょう。
これは簡単かもしれません。「剽窃(ほかの人の著作、意見、発明、発見を、それを
隠して自分のものとして発表してしまうこと)はダメ」ということになります。
しかし、現実はどこからどこまでが他人のもので、自分のものはどの部分?という判断が
極めて難しい世界に突入しています。ビッグデータの時代になったから、とも言えます。
「グレー部分は全部ダメ」という考え方と「明らかにダメなもの以外はOK」という
考え方は近いようで、非常に大きな違いがあります。
実はこのお話は「我が国の著作権の考え方」と「フェアユーズに基づく欧米の著作権の考え方」
のちがいにも対応します。後者の代表であるGoogleやAmazonの書籍、地図サービスを
考えると理解しやすいかもしれません。かといってグレーが全部無条件でOKという
ことではいずれ世の中は真っ暗(黒)になってしまいます。
私は、以前年間50本以上の雑誌記事を5年位連載していた経験があります。
毎週異なる内容、表現をもった記事を書かないといけないので大変でした。
「コピペしてしまえば簡単!」という「悪魔のささやき」が聞こえてきます。
しかしそれを1度でもやったら終わりです。そこでコピペの間に「人間の脳」という
「あいまいフィルター」を入れました。つまり他の文献やインターネット記事は一切閉じ
自分の頭の中の記憶でコピペを行うようにしました。出来上がった文章をみると笑って
しまうほど元の文献と違ったものになっています。「えっ、それならもしかしたら
オリジナル?」という訳です。今回はすこし抽象的な結論になりました。最後にこの記事
自身の「引用率」を前述のシステムで調査してみました。結果=9%。良かった!!
(編集長1:井上センター長)