2014年7月9日水曜日

■ 編集長からのメッセージ

「静大TVに英語の字幕が付いたら、最強のメディアになりますね」という、少し予想外
のコメントを利用者から戴きました。「予想外の・・・」という理由は、元来静大TVは
55か国語以上への多言語変換機能を有する「ユニヴァーサルデザイン」を「売り」に
していたからです。

それにも拘わらず、冒頭のコメントが出てくるのはなぜか?ということを検討しました。
出てきた答は「私たちの怠慢、もしくは驕りではないか」というものでした。つまり
「多言語変換機能が活用されない理由」は(1)システム上の「翻訳機能」はまだ一般性が
無く、簡単には使ってくれないこと、(2)初期表示言語が「日本語」だと日本人以外の
方々の視聴を中断させてしまう、という2点にあったという推定です。
「正確な日本語字幕と高度な翻訳機能があれば世界中の人が視聴してくれるはず」
というのは、実は幻想だった様なのです。

世界中の言語は6000~8000種類存在すると言われています。その中で母国語として使用
されている人口が多い順は1位=中国語:8.85億人、2位=英語:4.0億人、3位=
スペイン語3.32億人と続き日本語は9位で1.25億人です。一方WEBで使用されている
言語順位は全く異なる様相を示します。1位=英語:5.65億人、2位=中国語:5.1億人
3位=スペイン語:1.65億人、4位=日本語:0.99億人です。インドでは22の公的言語
がありますが、公的な場では英語をベースにするのでWEB上では英語ベースになります。
英語そのものが公用語の国は世界の国々では1/3程度ですが、準公用語的に使われている
国は多いのが実情です。ですから「グローバルサイト水準を上げるには、まず英語表記
が必要」という極めて普通の結論が出てきました。

しかし日本語でのお話を最初からきちんとした英語に翻訳することはコスト的に難しく
なってしまいます。日本語の話を日本語のテキストにするのは、学生や主婦でも簡単に
かつ正確にできます。ですからコストもかかりません。スタッフでいろいろ検討した結果
「正確な日本語テキストをGoogleの自動機能で翻訳すると、ほぼYouTubeと同じ結果になる」
ということが分かりました。「ならばそれを初期値としてセットすれば良い」ということ
になりました。うまいことにYouTubeには初期値として2か国語がセットできますので
「英語以外の言語で話している場合は英語字幕表示」「英語で話している場合は日本語字幕
表示」をすれば、世界中の2/3以上の人が最初から番組を理解できるようになる、という
可能性が見えてきました。

ここまで書いてきたら「実にあたりまえなこと」であると気が付きましたが、その当り前に
気が付かなかったことに愕然としました。この方法は、従来の「翻訳作業」に比較すると
きわめて低コストにできますので、例えば「日々の日本語の授業にすべて英語字幕を付ける」
という従来想像もできなかった離れ業が低コストで実現できることになります。

「実現不可能と考えられていたニーズ」も、クラウド(Cloud)やクラウド(Crowd)など既存の
サービスの組み合わせで実現できてしまう、ということを改めて発見しました。
今後、できるだけ短期間に、これまで制作してきた動画番組すべての字幕やタイトル
コメントを英語にして世界中に再発進したいと思います。本学のグローバル化の一助になれば
と期待しています。
(編集長1:井上センター長)